命をいただきます

バンクーバ島に来て5日目。Rosalitaが鶏を4羽絞めるというので見させてもらうことになった我が家。ブログを見てくださる皆さんにも、貴重な経験をシェアできればと思い、今日はその一部始終を詳しくお伝えしたいと思います。生々しい写真も載せていますので、閲覧したい方のみ見ていただければと思います。

今日絞める予定の鶏が小さなケージに4羽。これからこの鶏たちを絞めるのかと思うと、切ない気持ちになります。Rosalitaは、フィリピンのファームで育ったため、子どもの頃から親が鶏を絞めるところをよく見ていたそう。海外の田舎だと、きっと普通にある光景なんでしょうね。

手足を抑えて、ケージから鶏を出します。手慣れていてほとんどバタバタしません。息子たちと一緒に「Thank you」と言いながら、鶏と最後のお別れをします。

鶏を逆さまにし、アルミ製の筒に、頭から入れていきます。その後、筒に手を入れて鶏の頭・首が出るように引っ張り出します。

鶏の首の毛をむしり、ナイフで頸動脈を切ります。

緊張の瞬間…

血が一気にドバーッと流れ出し、鶏も手足をバタつかせ、抵抗します。痛いだろうな、苦しいだろうなと思うと、なんとも言えない複雑な気持ちに。血がぽたぽたと流れ続け、少しすると動かなくなり、鶏は息絶えました。家族全員でその一部始終を静かに見守りました。2歳の次男も、その様子を感じ取ったのか声も出さずジーッと見つめていました。

生きたまま首を切るなんて、信じられないくらい残酷なことのように思いますが、今まで知らなかっただけで、これが現実なんだ…

命をいただくということは、こういう現実の連続なんだと。

絞めた鶏をまじまじと見る長男。一切怖いと言うこともなく、一部始終をしっかりと見ていました。動かなくなった鶏を見て「鶏さん死んじゃったの?」と。私たちも驚くほどの落ち着きぶり。

3羽目は夫が挑戦。普段から全く物怖じしない夫。怖いというフレーズを今まであまり聞いたことがありません。鶏を掴むところからなんだか手慣れています。

落ち着いた様子で、作業を進めます。人生初めての体験とは思えない…

私は見るだけのつもりでしたが、こんな機会めったにないからと夫の勧めもあり、勇気を出しやってみることに。

Rosalitaが鶏を掴んでくれ、受け取ります。鶏に触れた瞬間、感じたのはその温かさ。まさに生きているんだと実感する瞬間でした。鶏を逆さまにし、頭を筒から出そうとしますが上手く出せません。ここでもまたRosalitaに手伝ってもらいます。

さぁいよいよ緊張の瞬間…

ナイフを首に当て引くと、血がドバーッと出始め、思わず手を離したくなりましたが、グッとこらえて息絶える瞬間を待ちます。ごめんなさいとありがとうが入り混じり、やはり複雑な気持ちになりました。ナイフを入れた部分がズレていたようで、結果的に息絶えるまで少し時間がかかってしまいました。

貴重な命をありがとう。
この経験は一生忘れません。

鶏を絞めたあとは、羽根を取り除く作業。熱湯に浸けると、羽根が取りやすくなるそう。

びっしりと羽根が付いているので、取り除くのに結構時間がかかりました。徐々に見たことのある姿に変わっていきます。クリスマスにスーパーに出回る丸鶏の姿を思い出しました。

細かい毛も綺麗に取り除きます。
素早くさばいていきます。

日本では、まず見ることはない動物の屠殺。バンクーバー島に来て、まさか5日目で体験することになるとは思いもしませんでした。今回、鶏を絞めるという体験をして、劇的に何か変わったかと言われれば、大きくは変わってはいないのかもしれません。でも、最低限私にできることは「感謝していただくこと」と「食べ物を残さず食べること」なのではないかと実体験から学ばせていただきました。そして、何より捨てられる命ほど悲しいことはないと感じました。

私の好きな相田みつをさんの言葉でこんな言葉があります。

『うばい合えば足らぬわけ合えば余る』

命をいただく者として、1人1人が必要な分だけをいただいて、皆で分け合おうという考えを持つ人が増えれば、不必要な屠殺をもっと減らせるのではないかと感じました。

その日の夜、息子たちと「いただきますの意味」について話をしました。

一つは、命をいただきますという意味があること。肉や魚はもちろん、野菜や果物などすべてのものには命があって、それをいただいて自分の命があること。また料理を作ってくれた人、食材に関わってくれたすべての人に対してありがとうの気持ちを表しているんだよという話をしました。

こんな出来事もありました。ホスト先には猫がいるのですが、息子たちと猫を見に行ったときのこと。

子猫が何かを食べている。よく見るとそこには動物の死体が…息子たちはビックリして、目を丸くしています。どうやらお母さん猫が子猫のために獲ってきたようです。

私「死んじゃってるね。なんの動物だろうね?うさぎかな?ネズミかな?」

長男「しっぽが長くないからネズミじゃない。しっぽが短いからうさぎかもしれないね。」

日々自然や動物たちから学ぶことがたくさん。私たちが教えることはほとんどないのかもしれないなぁと感じます。

つい先日可愛いひよこが産まれました♡

最後までお読みいただきありがとうございました!

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12 件のコメント

  • 表現、描写が素晴らしいです
    最後までしっかり見せたいただきました
    [いただきます、ごちそうさま]
    いつも心にとめておきたい言葉ですね
    ものすごく大きな経験、子供たちからの感想を直接聞いてみたいです

    • 嬉しいお言葉ありがとうございます!上手く言葉にするのは難しいですが、ブログが振り返る良い機会になってます。息子たちが落ち着いていたのは驚きました。

  • 初めてこちらにコメント致します。
    人間が生きていくうえで欠かせない食料を得るために、必ずこのプロセスがあるのだと再認識することができました。「いただきます」の意味、我が家の小学生兄弟にも教えたいと思います。

    今回のトピックスを読むことができたこと自体にも感謝です。

    • 越後屋さんコメントいただきありがとうございます!有難いお言葉励みになります(^^)
      ブログを見ていただき、お子さんに話すきっかけになれたことがとても嬉しいです。食事の前の「いただきます」我が家もより一層大切にしていきたいと思います。

    • 越後屋さん、お主も悪よのぉ〜イヒヒヒ。

      ではなく、ブログへのコメントありがとうございます☆妻も感激しております。ブログ文中にあるように多くの人が分け合う精神を持てれば、無駄な屠殺、廃棄が減るのでしょうね。時代、社会の責任にするのは簡単ですが、もったいない精神を少しでも次世代に繋げられるといいですね。

  • ブログの更新、いつも楽しみにしてるよ‼︎
    映画のワンシーンのような景色や出会い、出来事の連続だな〜って、読みながら思います。
    息子も離乳食を始めて、いただきますから始まり、ご馳走様でしたで終わる食事の時間。まだ意味までは理解出来ないし、私がするのをぼーっと見てるだけだけど、時期が来たら、山田ちゃんが載せてる「意味」を私も伝えていきたいなって思う!大事なこと、改めて気づかせてくれてありがとう!

    • ブログ読んでくれてありがとう♡私も屠殺を経験しなければ、改めて考える機会ってなかったと思う。旅の始まりに命をいただくことの大切さに気付くことができて良かった。
      離乳食始まったんだね!あっという間に成長するね!いただきますを言ってくれる日が来るのが楽しみだね♪いつもありがとう♡

  • 昔は日本でも庭先に鶏がいて当たり前にある風景だったんでしょうね
    家族で育て、慈しみ、ハレの日のごちそうとしてありがたく頂く
    子供たちは何を思ったのでしょうか
    きっと食べ物を捨てない子供になると思います

    いやなものは見せない、触らせない、考えさせない
    日本はそんな教育でいいのかなと思います

    大変面白く考えさせられる記事でした

    • 思慮深いコメントをありがとうございます。見せない、触らせない、考えさせない…教育。履き違えた安全優先主義の弊害ですね。肉に限らず命をいただくためには場所を確保し、水・餌をやり、糞尿の始末をし、小屋を掃除し…屠殺するという長い過程がありますからね。それを全て裏に隠し、パッケージされた状態でスーパーで買う。これでは無駄な消費・廃棄は減らないでしょうね。

      大人、子供関係なく大切にしたい考えです。

  • もし家族で屠殺の現場に居合わせたら、私も妻も子どもたちをそっと見えない所に連れて行ったと思います。
    また自分自身もそういったものから都合よく目をそらして避けて通ってきた部分もあります。
    「他のかけがえのないいのちをいただいて自分の命がある・・・」気付き、とともにちょっとウルッと。
    ホントにそうですよね、最近のどんな小説より感動しました。

    • 有難いお言葉ありがとうございます!もし私1人だったら、屠殺の現場から逃げていたかもしれません。当たり前に食べられるということが、実は当たり前でなく、改めて命をいただくことの大切さに気づくことができました。貴重な経験を皆さんにシェアできて良かったです。

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